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-死神-



よし。準備OK!

荷物を確認し、布団に入りました。
明日から、2週間の有給休暇を取りました。
そして、約10日間の "日本ぶらり気ままにひとり旅"に出かけます。
まずは、北海道です。
楽しみ~♪
寝坊しないように、目覚まし時計を3つセットしました。
枕元に2つ。
もう1つは、タンスの上に。

では、おやすみなさい。



「おいっ。」
誰かが呼んでいます。
目を開けると そこに 黒い服を着た男の人が立っています。
「えっ! 誰? 何?」
驚く私に
黒い服を着た男の人は
「迎えに来た。」と。
訳が分からずに ぼーっとしていると
「オレは、死神だ。あんたを迎えに来た。」
「死神って・・・」
「下を見てみろ。」
指さす下を見ると 私が布団で寝ています。
「えっ!幽体離脱?」
すると、死神だと言うその人は
「あんたは、死んだんだ。」
「いや、正確にはまだ心臓は動いている。死亡予定時間は、12時だ。」

死神・・・死んだ・・・迎えに来た・・・
さっぱり理解できずに ???の私に 死神さんは話を続けます。
「今から2時間ほど前に地震があったんだ。」
「大きな揺れじゃなかったが 壁に掛けてあった絵が外れてタンスの上に落ちた。」
「その絵が、目覚まし時計に当たり 目覚まし時計がタンスからあんたの頭に落ちたんだ。」

どうやら私は、目覚まし時計に頭を直撃されたようです。

「そんな。時計に当たって死んじゃうなんて・・・マヌケじゃない・・・」
時計を見ると6時です。
「死亡予定時間が12時って・・・今から病院に行ってももう助からないの?」
死神さんは
「もしかしたら助かるのかもしれない。でも、あんた一人暮らしなんだろう?誰か尋ねてくるアテはあるのか?」
そうでした。
みんなには今日から旅行に行くと言ってあります。
連絡が無くても、どこかで楽しんでいるだろうぐらいにしか思わないはず。。。


しかたがない。
あきらめましょう。

「わかりました。それじゃ行きましょうか。」

行先は、ソウル・ソサエティかな。。。
私も、護廷十三隊に入れるといいな。。。
斬魄刀はもらえるんだろうか。。。
間違っても流魂街には行きたくないな。。。

そんなことを思っている私を無視し、
「これから 黄泉の国の入口に行く。そこでサタンに行き先を決めてもらうんだ。大丈夫、きっとあんたは天界に行けるよ。」

天界か・・・天使になるのかな。。。
背中に羽根が生えたりするんだろうか。。。


「あんた、26か・・・その若さで死ぬのは、気の毒だが・・・そうだ、会いたい人はいるか?」
と、尋ねます。
「えっ、会えるの?」
そう聞く私に
「相手にあんたの姿は見えないけどな。」

「父さんと母さんに会いたい。」
もう数年 家に帰っていません。
今度の旅行で立ち寄るつもりでした。
「じゃー、目を閉じて・・・会いたい人の顔を思い浮かべて・・・」
そう言うと死神さんは、私の手をそっと握り締めてくれました。

「ここでいいのか?」
目を開けると そこは懐かしの我が家。

瞬間移動でしょうか?
まさか どこでもドアとか・・・?

台所に母さんがいます。
父さんは、居間で新聞読んでいます。
いつもの二人です。
「父さん。母さん。ごめんね。なにも親孝行できないままで・・・大好きだよ!」
そう叫んだけれど 二人には届きません。
涙があふれて止まりません。
しばらくそこで泣いていました。


気がつくと、私の部屋に戻っていました。
死神さんは
「もういいのか? 恋人はいないのか?」と尋ねます。


恋人。
リョウくんは、絵本作家です。




・・・To be continued・・・

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by yukie-ca | 2011-07-05 23:20 | つぶやき